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笹島 栄夫; 杉山 智之; 中村 武彦*; 更田 豊志
JAERI-Research 2004-022, 113 Pages, 2004/12
本報告書は、安全性試験研究炉(NSRR)において実施した反応度事故模擬実験、GK-1及びGK-2の結果についてまとめたものである。実験は、九州電力(株)玄海1号機で燃料燃焼度42.1MWd/kgUまで照射された1414型PWR燃料に対して行った。計装を施した試験燃料棒を二重カプセルに装荷し、NSRRにおいて0.1MPa, 293Kの静止水冷却条件下でパルス照射実験を実施した。GK-1実験の発熱量は505J/g、燃料エンタルピは389J/g、GK-2実験の発熱量は490J/g、燃料エンタルピは377J/gに達した。被覆管表面ではDNBが生じ、最高温度はGK-1で589K、GK-2で569Kに達した。パルス照射後の被覆管径方向最大残留歪みはGK-1で2.7%、GK-2で1.2%となったが、燃料棒破損には至らなかった。パルス照射中の燃料棒内自由空間への核分裂ガス放出率はGK-1で11.7%、GK-2で7.0%であった。
笹島 栄夫; 杉山 智之; 中村 武彦; 更田 豊志; 上塚 寛
Proceedings of 7th International Topical Meeting on Research Reactor Fuel Management (ENS RRFM2003), p.109 - 113, 2003/03
TRIGA炉燃料として世界的に使用されているウラン水素化物ジルコニウム燃料(U-ZrHx)について、事故条件下での燃料挙動データを得ることを目的とし、NSRR実験を行った。これまでに5回のパルス実験をピーク燃料エンタルピ187483J/gの範囲で実施した。483J/gの実験で被覆管表面最高温度は約840Kに達した。被覆管表面温度は、パルス出力とともに急激に高くなり、187J/g以上の実験でDNBが生じた。DNBは、UO燃料棒を用いたNSRR実験と比べ、より低い燃料エンタルピで生じていた。燃料棒内圧は最高1MPaまで上昇した。これは、燃料から解離した水素の放出を示唆している。予備解析によると、480J/gの燃料エンタルピで、平均温度は約1300Kであり、過渡加熱条件での水素の解離圧は平衡圧に比べ十分小さい結果となった。U-ZrHx燃料ではペレットと被覆管のギャップが小さいため、比較的低いエンタルピからペレット/被覆管機械的相互作用による被覆管変形が生じ、過渡変形が最高約3%に達した。試験燃料棒は、これまでの実験範囲では破損は生じず、また337J/g以下の実験では、燃料溶融及びマイクロクラックの発生等の燃料ペレットミクロ組織の変化は観察されていない。
中村 武彦; 草ヶ谷 和幸*; 吉永 真希夫; 上塚 寛; 山下 利之
Progress in Nuclear Energy, 38(3-4), p.379 - 382, 2001/02
被引用回数:8 パーセンタイル:52.36(Nuclear Science & Technology)イットリア安定化ジルコニア(YSZ)及びYSZ/スピネル型の岩石型(Rock-like Ocide: ROX)燃料の反応度事故時挙動を調べるため、パルス照射実験をNSRRで実施した。ROX燃料の破損は、体積エンタルピ10GJ/m以上の実験で被覆管の破裂により生じた。破損しきい値は体積エンタルピで見るとUO燃料と同等であった。しかしながら、ROX燃料の破損は、かなりの燃料溶融を伴っており、被覆管の溶融及び酸化脆化に起因するUO燃料の破損とは大きく異なっていた。低いROX燃料の融点の影響が破損モードの違いに表れているものと思われる。ROX燃料は破損時に溶融した燃料のかなりの部分が噴出した。しかし、溶融燃料と水の相互作用による機械的エネルギ発生は12GJ/m以下の実験では見られなかった。
更田 豊志; 笹島 栄夫; 杉山 智之
Nuclear Technology, 133(1), p.50 - 62, 2001/01
被引用回数:67 パーセンタイル:96.81(Nuclear Science & Technology)高燃焼度PWR燃料の反応度事故時挙動について、NSRR実験の最新の成果を報告する。これまでにNSRR実験では、水素吸収によって外周部の延性が低下した被覆管と燃料ペレットとの機械的な相互作用による高燃焼度PWR燃料の破損が、低い燃料エンタルピレベルで生ずることを示した。今回新たに、耐食性を向上させた低スズジルカロイ4被覆管を備えた高燃焼度PWR燃料の実験においても、同様の破損が生じることを示した。さらに、微粒子化した燃料の冷却材中への放出と機械的エネルギーの発生とを確認し、機械的エネルギーを定量化した。これらの結果をふまえて、被覆管外周部延性低下の影響を受けたPCMI(ペレット/被覆管機械的相互作用)破損、燃料微粒子化と機械的エネルギー発生、FPガス放出等、反応度事故条件下における高燃焼度燃料の挙動について論じる。
中村 武彦; 池田 良和; 谷内 茂康; 大河原 正美; 吉永 真希夫; 田苅子 功; 豊川 俊次; 片西 昌司; 傍島 眞
JAERI-Tech 2000-019, p.162 - 0, 2000/03
軽水炉の運転により生成されるプルトニウムの利用及びアメリシウム等の長半減期放射性物質の消滅処理の担い手として期待される高速炉の実用化にあたっては、軽水炉とは大きく異なる事故時燃料挙動等の解明及びこれに基づく安全評価指針類の整備が不可欠である。原研の原子炉安全性研究炉(NSRR)では、高速炉燃料をナトリウム冷却条件でパルス照射して、過渡出力事故時の燃料挙動を解明するためのナトリウム取り扱い設備として、(1)純化・充填及び試験部循環設備、(2)試作ナトリウム・カプセルの開発と製作・設置を行った。本報告書は、この内、ナトリウムの純化運転等を行う(1)純化・充填及び試験部循環設備の開発及び製作・設置について、その目的、概要、仕様、性能、運転結果等をまとためものである。純化・充填設備はNSRR原子炉施設の一部であり、同設備により照射用カプセルへのナトリウムの注入が可能となった。また、試験部循環設備では、実験燃料を模擬としたヒーターピンを用いて伝熱特性試験や実験用計装の各種開発試験を行う。さらに、照射実験を実現するためには、パルス照射後の燃料やナトリウムで汚染されたカプセル等を取り扱う解体設備等を整備する必要がある。
長尾 美春; 中道 勝; 河村 弘
Journal of Nuclear Science and Technology, 37(Suppl.1), p.423 - 426, 2000/03
核融合実験炉の運転形態の一つにパルス運転モードがある。この運転形態におけるトリチウム増殖ブランケットの工学的データ(熱特性、トリチウム放出特性等)は、ブランケットの設計に必要不可欠なことから、核分裂炉においてパルス運転を模擬した照射試験を行うための試験体の設計を行った。この試験体では、窓付のハフニウム製の中性子吸収体を回転させることにより、パルス運転を模擬する。核設計に際しては、モンテカルロコードMCNPを使用し、試験体が実際に炉内に装荷された場合を想定した解析を行った。パルス運転モードにおける工学的データを得るためには、運転状態相当での熱中性子束が停止状態模擬時の少なくとも10倍以上あることが望ましいとされている。本核設計の結果から、パルス運転模擬時における試料部の熱中性子束の変化を約12:1にできることが明らかとなり、JMTRを用いた照射試験の見通しが得られた。
内海 隆行*; 佐々木 明; 功刀 資彰*; 藤井 貞夫*; 赤松 幹夫*
Proceedings of 13th International Conference on High-Power Particle Beams (BEAMS 2000) (CD-ROM), 4 Pages, 2000/00
原研において先端的光量子光源の開発とその応用研究の一環として超短パルス・高ピーク出力で繰り返し動作可能なレーザーが開発され、固体ターゲットへの照射を数値的に解析することが要求されている。このため、計算手法としては、3次補間擬似粒子法(CIP: Cubic-Interpolated Propagation)とC-CUP(CIP-Combined Unified Procedure)法が固・液・気各相界面での大きな密度変化を精度良く捉えられ、圧縮性・非圧縮性流体の統一解法に極めて有効な計算手法と考え、CIP法を異なる種類の物質に対して適用できるように拡張し、多相・多成分の連続体が存在する系に適用可能なコードを開発した。さらに、状態方程式(EOS)や熱輸送モデルと物質特性値を本コードに組み込み、固体スラブターゲット照射に伴う熱流動現象を解析してきた。一方、固体ターゲットとして薄膜を用いることにより、ターゲット内部への熱伝導による損失なしにプラズマを瞬間的に生成できると考えられる。このコードを超短パルス・高ピーク出力レーザの薄膜への照射によるレーザプラズマの生成とその伝搬のシミュレーションに適用した結果を示す。
笹島 栄夫; 中村 仁一; 更田 豊志; 上塚 寛
Journal of Nuclear Science and Technology, 36(11), p.1101 - 1104, 1999/11
被引用回数:2 パーセンタイル:21.18(Nuclear Science & Technology)高燃焼度燃料では、ペレット最外周部で局所的に燃焼度が高くなり、その部分では微細化した結晶粒と多くの粗大気泡を含むいわゆるリム組織が形成されることが知られている。リム部に保持されたFPガスはRIAなどのトランジェント時に燃料挙動にどのような影響を与えるのかが懸念されている。そこで、NSRRパルス照射試験でペレットから放出されたFPガスを分析し、FPガスがペレット径方向のどの領域から放出されたかを同定することを試みた。すなわち、RODBURNコードを用いて燃焼度の増加に伴うXe/Kr比の径方向変化を計算し、燃料棒のガスパンクチャ試験で測定したFPガスの組成(Xe/Kr)から、主たるガス放出の位置を推定した。この結果、パルス照射時に放出されたFPガスはリム部からおもに放出されたものではないことが明らかになった。
大友 隆; 永瀬 文久; 上塚 寛
JAERI-Tech 99-071, p.25 - 0, 1999/10
軽水炉高燃焼度燃料棒のRIA破損挙動に関する基礎的な知見を得るために、燃料被覆管内圧を急速に加圧できる試験装置を考案し製作した。UOパレット中のFPガスの膨張がPCMIに強く関与することを考慮し、本装置では油圧を用いて被覆管に均一な負荷を与えることとした。また、NSRR実験でのパルス幅に相当する短い時間で被覆管を加圧し破裂させるために、最大170MPaまで予加圧した高圧系と被覆管試料とを電磁弁を用いて瞬時に接続する加圧方法を考案した。製作した装置は、室温で最大3.4MPa/msの昇圧速度を達成し、未照射PWR用ジルカロイ被覆管が70msで破裂した。水素添加被覆管試料では、NSRR実験で破損した高燃焼度燃料棒と類似の破損形態を呈したことから、本装置によりパルス照射時にPCMI破損を十分に模擬できる。
内海 隆行*; 佐々木 明; 功刀 資彰*; 藤井 貞夫*; 赤松 幹夫*
Computational Fluid Dynamics Journal, 8(1), p.128 - 134, 1999/04
プリパルス方式による効率的な電子衝突励起X線レーザーの開発のためには、固体ターゲットへのレーザー照射により生成されるレーザープラズマの状態を精度よく予測することが重要な要件である。レーザー光が固体ターゲットに照射されると、溶融・蒸発の後に高エネルギーの集中した状態として高温・高密度プラズマが生成される。このレーザー生成プラズマの状態を解析する方法の1つとして、これらの複雑な現象を連続体、あるいは混相流としてとらえ、流体運動として定式化することができる。この現象を精度よくシミュレーションするためにCIP法(3次補間擬似粒子法)に基づく解析コードを開発した。本論文では、固体ターゲットへの高強度・短パルスレーザー照射により、平坦な先端をもつ比較的均一なプラズマ状態が形成され、膨張伝播して行く状態をシミュレートしたことを報告する。
永瀬 文久; 大友 隆; 上塚 寛
JAERI-Research 98-064, 25 Pages, 1998/11
高燃焼度軽水炉燃料棒のRIA条件下における破損挙動を調べるために、NSRRパルス照射時に生じるPCMIを模擬し被覆管を急速加圧できる装置を製作した。最初の実験として、室温で水素吸収Zry-4管に内圧を最大1.9MPa/msの高速で負荷するバースト試験を行った。その結果、水素吸収被覆管には、NSRR実験で見られた破損と酷似した軸方向に長い破損開口が生じた。さらに、破損挙動に及ぼす水素の影響が明瞭に観察された。円周方向の残留ひずみ量は、水素濃度が高いほど明確に低下した。また、水素化物を被覆外表面に偏析させた試料は、極めて小さなひずみ量で破裂し、破裂圧力も相対的に低かった。一方、加圧速度の及ぼす影響は比較的小さかった。NSRR実験等で見られたパルス照射時の高燃焼度燃料棒の破損が、被覆管の水素吸収と外面への水素化物偏析と深く関連していることが示された。
更田 豊志; 中村 武彦; 石島 清見
NUREG/CP-0162, 2, p.179 - 198, 1998/00
NSRRにおいて実施している高燃焼度燃料実験について、最新の成果を報告する。部分体先行照射燃料を対象としたPWR燃料実験に加えて、耐食性を向上させた低スズジルカロイ4被覆管を使用したPWR燃料を対象とした最新の実験においても、被覆管外面腐食がより進んだ上部から採取した試験燃料において破損を生じた。水素吸収に伴う被覆管強度の低下に加えて、急速なFPガス放出が被覆管に対する強い負荷となって、破損しきい値の低下を招いている可能性が高い。機械的エネルギの発生においても、FPガス放出が強く影響していることが示唆された。また、BWR燃料実験についても併せて報告する。
更田 豊志; 永瀬 文久; 中村 武彦; 上塚 寛; 石島 清見
NUREG/CP-0166, 3, p.223 - 241, 1998/00
高燃焼度軽水炉燃料を対象とするNSRR実験及び炉外分離効果試験について、最近の成果を報告する。PWR燃料実験では、耐食性を向上させた低スズジルカロイ4被覆管を使用した燃料の実験においても、被覆管外面腐植がより進んだ上部から採取した試験燃料において破損を生じており、さらに機械的エネルギーの発生と微粒子化した燃料の冷却水中への放出を確認した。一方、BWR燃料実験においては燃焼度45MWd/kgU、ピーク燃料エンタルピ約150cal/gまでの範囲で破損は生じていない。また、高燃焼度PWR燃料の破損要因となっている燃料ペレット/被覆管機械的相互作用に対する、被覆管水素吸収量及び水素化物偏在の効果を定量化するために実施した水素吸収被覆管の高速バースト試験の結果を報告する。
永瀬 文久; 上塚 寛
Proc. of Int. Topical Meeting on LWR Fuel Performance, 0, p.677 - 684, 1997/03
NSRRにおける、PWR高燃焼度燃料に対するパルス照射実験(HBO実験)の結果を評価することを目的に、同じ燃料集合体(大飯1号炉、4サイクル照射)から引き抜いた燃料棒(47GWd/t)に対する照射後試験を行った。燃料棒軸方向10ヶ所における水素分析結果から、水素濃度分布は第2スピン内にピーク濃度(約380ppm)を持ち、燃料棒内で軸方向で大きく変化することが分かった。NSRRで照射されるセグメント燃料は異なるスパンから採取されるため、水素濃度の差がパルス照射時のセグメント燃料の挙動に影響を与えたかもしれない。また、被覆肉厚内で半径方向に水素化物密度の大きな変化が見られ、外面近傍で水素化物の顕著な偏析が認められた。画像解析装置を用いた解析から外面近傍は平均よりもかなり高い水素濃度を持つことが推定される。この水素化物の偏在は運転時の被覆肉厚中の温度分布によって生じるが、パルス照射時にはクラック発生源となる。
中村 武彦; 笹島 栄夫; 更田 豊志; 石島 清見
Journal of Nuclear Science and Technology, 33(12), p.924 - 935, 1996/12
被引用回数:11 パーセンタイル:68.15(Nuclear Science & Technology)原子炉安全性研究炉(NSRR)では燃焼の進んだ軽水炉燃料の反応度事故時挙動を調べるパルス照射実験を実施している。同実験では、未照射燃料での実験結果に比べて非常に大きい被覆管の周方向変形が観測され、最大約10%に達した。燃料ペレットの熱膨張のみを考慮する現状の軽水炉燃料挙動解析コードでは、この変形を1%以下に過小評価する。また、これらの実験では核分裂ガスの放出も最大22%に達した。これらの実験結果を記述するため、結晶粒界に蓄積された核分裂ガスがパルス照射により加圧され、結晶粒界割れを起こし、被覆管を変形させるモデルを開発し、燃料挙動解析コードFRAP-T6に導入した。結晶粒界割れを生じさせたFPガスは、実験初期には燃料内に留り被覆管の変形を生じさせ、その後放出されるものとした。この変形モデルは、未照射燃料の熱膨張モデルとして検証されたGAPCONモデルと併用することにより、照射済燃料を用いたENSRR実験結果を良く再現した。
石島 清見; 森 行秀*; 更田 豊志; 笹島 栄夫
NEA/CSNI/R(95)22, 0, p.87 - 105, 1996/00
NSRRでは、1993年より50MWd/kgUの高燃焼度PWR燃料を対象としたRIA実験を開始したが、この第1回目実験において燃料は、燃料スタックの微粒化と脱落を伴う被覆管軸方向全長にわたる破損が生じた。本報告は、これまでに得た破損燃料の照射後試験結果等に基づき、現段階で考えうる破損メカニズム及び今後の研究課題を紹介するものである。パルス照射前の試験燃料には、被覆管外面水素化物の形成とこれに伴う被覆管の局所的な延性低下が見られ、燃料ペレット外周部では結晶粒径の微細化と微小気孔の集中分布(リム領域)の形成が見られた。また、パルス照射後の破損燃料では、最も延性の低下した被覆管表面から内面にかけて亀裂が進展したことが推測できた。これらの結果から、高燃焼度燃料の破損は、燃料ペレット外周部の熱膨張の加速が、水素化によって延性の低下した被覆管に過大なPCMI応力を及ぼした結果、生じたものと考えられる。
中村 武彦; 吉永 真希夫; 石島 清見; 小林 晋昇; 山原 武; 助川 友英; 伊藤 忠春
JAERI-Research 95-080, 92 Pages, 1995/11
本報告書は、1993年度1月に実施した照射済BWR燃料を用いた5回目の反応度事故模擬実験であるTS-5について、実験データをまとめたものである。TS-4実験に使用した試験燃料は、初期濃縮度2.79%であり、日本原子力発電(株)の敦賀1号炉で照射されたBWR77型燃料棒を短尺化したものである。短尺化に供した燃料の燃焼度は26GWd/tUであった。NSRRにおける照射実験は、BWRのコールドスタートアップ条件を模擬した大気圧・室温の静止水冷却条件下で行い、公称発熱量は1175cal/g・fuel(ピークエンタルピ984cal/g・fuel)を与えた。その結果燃料破損は生じなかった。なお、この実験では集合体中の燃料/水比を模した流路管中で燃料のパルス照射を行った。実験条件、実験方法、パルス照射時の燃料の過渡挙動及び照射後検査の結果をまとめて示した。
片西 昌司; 石島 清見
Journal of Nuclear Science and Technology, 32(11), p.1098 - 1107, 1995/11
被引用回数:2 パーセンタイル:28.12(Nuclear Science & Technology)原研のNSRRでは、ゼロ出力からの出力暴走を模擬する実験により、反応度事故時の燃料挙動の解明を進めてきた。それに対して出力運転状態からの反応度事故の場合、定常運転中に形成される燃料棒内の径方向温度がゼロ出力の場合と異なるため、照射済燃料におけるPCMI破損に対する影響が考えられる。また、これは未照射燃料の場合にも被覆管の温度に関係することから、破損しきい値等に影響を与える可能性が考えられる。これらを実験的に調べるために、出力状態からの反応度事故模擬実験を行えるようにNSRR制御系の改造を行った。第1段階として、未照射燃料を用いた実験を行った結果、破損しきい値に対する初期状態の影響は認められなかった。また、将来の照射済燃料を用いた実験に向けて、燃料エンタルピ評価の手法について、実験結果をもとに検討を行った。
中村 武彦; 吉永 真希夫; 傍島 眞; 石島 清見; 藤城 俊夫
Nuclear Technology, 108, p.45 - 60, 1994/10
被引用回数:14 パーセンタイル:75.32(Nuclear Science & Technology)反応度事故(RIA:Reactivity Initiated Accident)における照射済BWR燃料棒の挙動の研究を日本原子力研究所NSRRで実施した。燃焼度26GWd/tUの77型商用BWR棒から短尺の実験燃料棒を製作し、BWRの冷温起動時の反応度事故を模擬した条件で、NSRRによるパルス照射を行った。実験燃料棒にはパルス照射により、燃料ピークエンタルピ230J/g・fuel(55cal/g・fuel)から410J/g・fuel(98cal/g・fuel)を与え、パルス照射時の燃料挙動を測定した。照射済実験燃料棒はペレット-被覆管機械的相互作用(PCMI:Pellet Cladding Mechanical Interaction)による被覆管の過渡変形が大きく、核分裂(FP:Fission Product)ガスが追加放出される照射済燃料棒特有の挙動を示した。しかし、実験燃料は上記の過出力条件の範囲では破損することは無かった。
中村 武彦; 室伏 昭*; 細山田 龍二*
JAERI-M 94-031, 156 Pages, 1994/03
NSRRでは、軽水発電炉で実際に使用した照射済の燃料棒の反応度事故時の挙動を調べる実験を行っている。このうち77型照射済BWR燃料を用いた実験は1989年から1993年までにTS-1からTS-5までの5回の実験を行った。本報告書は、これらの実験を事故時の燃料挙動計算コードとして広く世界的に使用されているFRAP-T6コードおよび、NSRR実験における照射済燃料の挙動計算に実績のあるNSR-77コードを用いて、解析した結果をまとめたものである。また、計算結果を実験結果と比較することにより、これらの計算コードの反応度事故条件における照射済燃料の挙動解析に対する適応性を検討した。